一番良かった旅行先は答えにくいもの

旅行が趣味だという話をすると、よく、「一番行って良かった所はどこ?」と訊かれる。この質問は、意外と答えるのが難しい。その理由は3つある。

 

1つ目は、あるスポットを指しているのか、地域全体を指しているのかが分からないからだ。

自分にとって80点のスポットがあったとしても、他に訪れたスポットが軒並み0点なら、トータルの満足度は80点だ。逆に1つのスポットが50点だとしても、それが2つあれば100点である。

まあこれについては、スポット単位なのか、地域単位なのか訊けばよいので、あまり困らない。ただ、地域単位、というか旅行単位で言われると、それなりに困る。これは2つ目の理由と関係してくる。

 

2つ目は、「良かった」という気持ちは、誰と行ったかによっても、左右されるものだからである。

同じ景色も、1人で見るのか、友達と見るのか、恋人と見るのかによって、見え方が全く違う。これは旅行についても全く同じで、「良かった」と感じるかどうかは、誰と行ったかに大きく影響される。もちろん、1人だからこそ、良かったと感じるスポットもある。私は、群馬のロックハート城に1人で行ったことがある。良い所だったが、1人で行くものではないなと思った。当然である。

スポット単位ですら影響するのだから、旅行全体の話ともなるとなおさらである。旅先でしか生まれない会話や、1人で考えること・感じるものは間違いなくあるし、それらは旅行全体の「良かった」に大きく影響する。

かといって、訊いてきた人にとっては、その人が誰と行ったかなどは不要な情報である。「○○がすごい良かったけど、××と行ったから良かったんだ~」と言われても、何が何だかよく分からない。結局そこはおすすめスポットなのだろうか。

 

3つ目は、人によって「刺さるスポット」が違うからである。

高所恐怖症の人に吊り橋を紹介してもしょうがないし、泳げない人にサーファーの聖地をおすすめしてもしょうがない。これらの例は極端にしても、滝や湖が好きな人・温泉が好きな人・アクティビティが好きな人には、せっかくならそれぞれ刺さる所をおすすめしたい(めんどくさいオタク脳)。

だから私は、何系のスポットなのかを訊き返すことが多い。質問に質問で返すな

 

 

 

まあ、大体の人はスポットについて訊いているし、無難に温泉について訊かれることが多い。君ら本当に温泉好きね。僕も好きです。ああ~~~~~~~~碌に観光せずに旅館で温泉に入り浸って酒を飲みてえ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ちょっと良い旅館になると、自分が上等な人間になったように錯覚できるからすき。はやく人間になりたい

 

話を戻して、温泉について訊かれた場合は、私は銀山温泉を挙げる。ベタだし、誰と行ったかの影響が大きい気もするけど、それでも良いものはやはり良い。

雪の降る銀山温泉はいいぞ

 

 

 

一番好きな都道府県について訊かれた時は、むしろあんまり悩まない。私の答えは千葉である。

千葉と答えると、大体怪訝な顔をされる。「千葉?滋賀じゃなくて?」と訊き返されることもある。滋賀が一番好きなやつも大概だろ(暴言)

 

私が初めて千葉を旅行したのは、大学1年生の夏だった。友達と、自転車で房総半島の最南端に行く計画を立てていた。数日前に急に友達がバックレて、仕方がないので1人で行った。今思えば、1人で行って良かったと思う。

それまでは、家族旅行以外の旅行をほとんどしたことがなく、高校卒業付近に、友達とスキーに行ったくらいだった。それも友達に誘われてついて行ったようなもの。

友達の家に泊まるような近場のお出かけでもない、部活の合宿や修学旅行のような学校がセッティングするものでもない、自発的・主体的な旅行は、これが初めてだった。

その旅自体も事件が多かったので、どこかで書くかもしれない。ともあれ、千葉、とりわけ房総を好きになったのは、「初めての旅だった」ということが、大きく影響していると思う。

 

 

 

また、東京からのアクセスが良いことも、私にとっては魅力の1つになっているのだと思う。

私が房総に行く時は、誰かと一緒じゃなければ、必ず原付で行く。

東京から房総に向かう場合、千葉に入ってからもしばらくは、習志野などの栄えた街を通過する。それが、五井を過ぎたあたりで、急速に田舎化(揶揄ではない)が進む。

 

コンクリートジャングルに日々押し潰されそうになっている人間にとって、田舎は非日常そのものである。

一般的な旅行では、新幹線にしろ車にしろ、日常→非日常の移り変わりを完全に感じることは難しいと思う。新幹線の車窓から見える風景は確かに変化していくが、停車駅はやはり栄えているものだし、車で長距離移動するなら普通は高速を使うので、風景の移り変わりはなお捉えにくい。

千葉は、原付でも簡単にアクセスできる距離なので、旅行の醍醐味とも言える、日常から非日常への変化を、ダイレクトに感じることができる。車で下道を使っていくよりも、原付や自転車で行くと、なおそれを感じる。それは、体が外に出ているからこそなのだと、思う。

 

 

 

内房には、木更津市から館山市を結ぶ、国道127号線がある。南下していくと、しばらくは内陸の道路だが、富津市に入りしばらく経つと、突然右手に海が現れる。

サーファーが多く、どこか騒がしい外房よりも、私は内房が好きだ。交通量も割りあい多く、決して静かではないはずなのに、静かだと感じる。房総に行くのは決まって夏で、夏を思い浮かべた時に浮かぶのは、内房の景色である。

 

昔、副業のような形で、ウェブ記事のライティングをしていたことがある。

ある時、「千葉のおすすめスポット○○選」のような、よくある記事が募集されていたので、応募し作成した。発注元は聞いたことのないサイトで、PVもそれほど多くなかった。

通常、このような記事は、ライターが見出しや文章を作成するほか、掲載する写真もピックアップし、送付することが多い。場合によっては、スポットはリストから選ぶ形式であったり、テーマが指定されていたりする。

この記事はそこが少し変わっていて、見出しと本文はライターが作成するが、写真は発注元が選定し、掲載するというものだった。

 

せっかくなら、あまり取り上げられることのないスポットを挙げようと思い、1つに127号線を挙げた。

「海風を受けて走るのは心地よく、トンネルや起伏も多く、飽きが来ない」といった内容を書いた気がする。とりあえず、おすすめするなら当然、海沿いの景色に言及する。

 

記事は承認され、後日掲載されるとのことだった。この後、仕事探しに利用するサイトをライティング専門のサイトに変更したせいか分からないが、自分が書いた記事を掲載後に見られるというのは、珍しい気がする。ともあれ、自分の成果が形になるのは嬉しいものなので、わくわくしながら見に行った。

127号線につけられていた写真はこれだった。

 127号スタート

海どこ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・???????????

 

 

 

夏が来たので書きました。いつの間にかネタに寄ってしまったけど、千葉は本当に好き。

今年は夏が終わる前に房総に行きたい