後腐れがなかったことがない

ちょっとだけセンシティブな話題を含むので、よいこのみんなは読んじゃダメです。

こんなブログによいこが来るはずはないので、わるいこのみんな、そのままゴーだ。

 

 

発端は、大学4年の頃、卒業も間近に迫った時期に開かれた合コンだった。

合コンの立ち回りがヘタクソなわたくし、全体の話を回すことに終始して、ふたりきりで話すタイミングを逃しがち。

その日も、男3女4の変則制シフトだったこともあり、気づけば友人2人はそれぞれふたりきりで話しており、私は2人を相手に当たり障りのない会話を続けていた。

その日はなにごともなく解散し、後日友人2人はそれぞれに付き合ったらしい。わーすごーい。めでたーい。

 

それからしばらく過ぎ、働き始めた頃、友人と付き合うことになった子が、私に女の子を紹介したいと言ってきた。

その子はまだ大学生で、ダンスサークルに所属しているらしい。対バン(?)形式で発表会があるので、見に行かないかとのことだった。

フットワークの軽さだけには自信があるわたくし、二つ返事で了承。

 

私の友人も来る予定だったが、当日予定が入ったため、友人の彼女と行くことに。

結果から言うと、ダンスは遠過ぎてよく見えないし、そもそも紹介してもらう前に見たダンスだから誰がその子か分からないし、出演後に少し話したけどその後にサークルの集まりもあるらしく、時間が無さ過ぎて紹介もなにもという感じだった。

連絡先を交換したかも定かではない。その後に遊んだ記憶もないので、おそらく交換しなかったのだと思う。

まあ、その辺りは瑣末な問題に過ぎない。事件はこの後に起きた。

 

発表会をずっと見ていても仕方ない。30分くらい出て、時間も早いので飲みにいくことになった。

友人の彼女と2人で飲むというのも、人によっては気にするかなと思った。が、もともと紹介してくれた子と発表会後に飲む気でいたので、酒モードに入っていたこともあり、さほど迷わなかった。誤ちその1。

 

 

普通に飲んでいたはずだったが、彼女はあまり酒に強くないようで、かなり酔いが回ってきた。

そろそろ出た方が良いかと思い彼女に声をかけると、彼女は氷1つ分しか残っていないカルピスサワーを指差し、「一気しろって言うんですか〜」と言ってきた。

 

一気というか一口だ。それ俺のシマじゃノーカンだから。

そもそも別に一気に飲まないでいい。というかなんなら飲まずに出てもいい。出されたものはちゃんと全部たいらげるタイプか?良いと思います。僕もそうです。気が合いますね。

彼女は宣言通りカルピスサワーを一気に(?)飲み干し、机に突っ伏した。うん、面倒なことになったね。

 

 

まともに歩けそうになかったので、一人暮らししているという彼女の家まで送ることにした。誤ちその2。

電車に乗せ、肩を貸しつつなんとか家まで引き摺ると、彼女も少し酔いが覚めてきたのか、少し部屋に上がって飲んでいかないかと言われた。

その日は日曜日、次の日は朝から仕事である。さすがに部屋に入るのも躊躇われたが、本来は初対面の子と飲んでいたはずの日、自分は大して飲まずに酔っ払いの介抱をしただけだとあまりに虚無だった。飲まずにやってられるかい!のテンションで、少し上がっていくことにした。誤ちその3。

 

貰い物だという白ワインを開けてぐだぐだと話していると、やおら彼女が「あげたい物があるんですよ〜」と言って小物入れを漁り出した。出てきたのがゴムである。予想の斜め上を来たなおい。

どうも私の友人はナニが大きいらしく、そのゴムだと収まりきらないらしい。死ぬほどいらない情報をもらった。

彼女は「すごく大きいんでいつも痛いんですよね〜」とかほざいてケラケラ笑っている。なんなんだこの空間は。

そもそも私に彼女がいないことは織り込み済みのはずなのに、ゴムをもらっても正直困る。必要になったら自分で買うよ。というか暗に「あなたのサイズなら入るでしょ」と言ってないか?地味に失礼だなコイツ。

 

「でも俺がもらっても使い道ないしな〜」と返すと、わずかな沈黙の後、彼女は座っていたベッドに横になり、無言でこちらを見つめてきた。

 

ん???????????

 

酔っ払いとにらめっこを続けても仕方なし、常人の5倍速で回転する私の脳は、酒の影響をやや受けながらも高速で回転し始めた。

 

据え膳食わぬは男の恥、人によっては諸手を挙げて喜びそうな状況になってきたらしい。

だが、私は元カノに浮気されて別れている。というかさっき飲んでる時にこの話したよね?心臓強いなあんた。

私と友人も10年来の付き合いで、これを書いている現在も、最も大切な友人だと言えるくらいの仲だ。

翌日は平日、遠方に住む私の終電も既に間近に迫っている。

どこをどう切り取っても手を出す要素はないのである。

 

ここまでが表向きの理由、もちろんそれだけで手を出さない理由としては十分過ぎたが、もう1つ理由があった。

彼女が、その、ふくよか過ぎたのである。

女性の自称ぽっちゃりはアテにならないとよく言うが、その辺りの表現を借りるならば、ぽちゃぽちゃ、していた。

私は少しだらしないケツが好きだが、彼女はどう贔屓目に見ても、だらしないケツの持ち主だった。

少しだらしないケツ>>>だらしなくないケツ>>>>>>>だらしないケツ、というのが揺るぎない真理だ。

 

女性の容姿にアレコレ言うのはあまり好きではないが、それでもちょっとご勘弁願いたいのが本音だった。

にらめっこをしながら切り抜ける方法に頭を巡らせ、終電を言い訳に帰るというひどく平凡な着地点にたどり着いた。

事実、終電は20分後くらいに迫っている。家から駅までは10分ほど歩いたので、そろそろ出ておきたい。

 

ところが、ここからしばらく押し問答が始まる。

「明日仕事だから」と言うと、「私と仕事どっちが大事なんですか〜」というフィクションでしか聞かないセリフが出てきた。めんどくさい彼女か。迷うまでもなく仕事だよ。

そうこうしているうちに終電は5分後、タクシーで帰ると1万じゃ済まないだろう。

立ち上がり高らかに帰宅を宣言、彼女も起き上がってきた。靴を履き鍵を開けている時は、後ろから追っ手が迫るホラーゲームの心境だった。

からくも彼女の手から逃れ、駅へと走る。グラス洗わなくてすまんな。

 

 

酒が入った状態の全力ダッシュは結構きつい。

なんとか時間前にホームに着くと、電車は遅延で遅れていた。

走らなくても間に合ったと思ったのも束の間、最寄りまで帰れない可能性を思い浮かべ戦慄する。

1時間後、3駅手前で降り、トボトボと歩いて帰る私だった。

 

 

ゴムはちゃっかりもらって帰っていた。後日付けてみたら普通に収まった。